「本人の希望により名は伏せるが、『人格や経歴を崩壊寸前にまで改変する荒業を条件』に、刃牙キャラのモデルは実在する!!」
名前は伏せませんが(笑)
メインキャラたちのモデルを紹介した前回記事に引き続き、『刃牙シリーズに登場する格闘家・武術家たちの実在モデル』について見ていきたいと思います。
なかでも今回は第1作『グラップラー刃牙』初出のキャラクターたちをまとめました。
「地上最強のモデルが知りたいかーッ!ワシもじゃ、ワシもじゃみんな!!」
神心会『末堂厚』
フルコンタクト(直接打撃制)空手の全国大会を3連覇している、“表”の公式大会チャンピオン。
神心会屈指の強豪にして驚き要員1号でもあります。
身体能力は現実世界ならトップアスリート級であるうえ、実は作中屈指の巨漢。
身長が205cmもあります。
主人公・刃牙の作中最初の対戦相手にして、その扱いはアマチュアとプロの境界線。
作中屈指のフィジカルは、小さな体でそれを吹き飛ばす『刃牙とのレベルの違い』の悲しいまでの象徴なのです。
同期の桜・加藤清澄(驚き要員2号)と共に・・・
どんどんインフレする超人たちとの間の「越えられない壁」を読者に知らせる一般人の立場へと。
しかし死刑囚編では突然闘いの場へカムバック。
存外な意地と実力、活躍を見せましたが……
走行中のジェットコースターから抱え落とされ、安否が絶望視されることに。
・・・支配人、ジェットコースター止めろ。
その生存が確認されたのは、連載時間で何年も経ってからようやくのことでした。
なぜかネット上ではオカマキャラにされがちです。
(クチビルのせい?)
末堂のモデルは?
モデルとなっているのは、なんとフルコンタクト空手の世界チャンピオン!!
映画やドラマで俳優としても活躍したパワー空手の体現者、『八巻健弐(やまきけんじ)』さんです。
演技力?聞くなッッ
日本人離れした体格とベンチプレスで200㎏以上を上げるパワーを持ち、全日本、世界、全日本ウェイト制、百人組手のグランドスラムを達成した極真空手史上『空前の達人』。
刃牙とはいろいろと縁深い『餓狼伝』の映画版では主演を務めています。
上段前蹴りやかかと落としを得意とし、かかと落としは映画『パニッシャー』出演時に共演者との技の交歓の機会があり、テコンドー選手の技を何度も反復練習して身に着けたそうです。
現在はアメリカで八巻空手を主宰。
道場生の指導の傍ら、今なお鍛錬と進化を続けており、道場破りが現れれば自ら受けて立ち、跳ね返し続けています。
斬撃空手『鎬昂昇』
手足の指を鍛え上げ、手刀や足刀、貫き手で「斬撃」を繰り出す鎬流空手の使い手。
神経を引きずり出して断ち切る技を持ち、「紐切り鎬」と呼ばれる。
素手で切り裂いたり、神経に外的要因を加えて腕を使えなくしたり視力を奪ったり……
南斗とか北斗なんちゃらは関係ないはず。
刃牙の対戦した最初のツワモノです。
流派が「鎬流空手」ってことは指があんなことになった師匠はお父さんだったのでしょうか?
兄の鎬紅葉はスーパードクターで、兄弟揃ってえげつないサディストです。
二人とも、最大トーナメント時には丸くなって改心していました。
幼少期より完璧超人であった兄に真っ向から挑み、見事に超えた兄弟対決は名勝負に数えられます。
一時は「烈海王にだって勝てる!!」と意気込み、言葉に違わぬ技の冴えも見せたものの、爆発物にはかないませんでした。
現在は武蔵の復活を感じ取ってトレーニングしているようですが、対決する一幕はあるのでしょうか。
ピクルの時みたいに結局全然出もしないなんてことになりませんよね?
昂昇のモデルは?
いかつく暑苦しい刃牙の世界……
かわいい女の子もいない……
かわいい動物たちは虐待されるばかり……
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刃牙『カマキリ/夜叉猿/象/ホッキョクグマ/Tレックス』動物強さランキング|エフッエフッエフッ!!
そんな中、一般読者の人気獲得のために昂昇の外見上のモデルとなったのがYOSHIKIさんです。
果たして効果はあったのでしょうか。
世界進出も果たした日本を代表するビジュアルロックバンド、『X JAPAN』のリーダー。
スラッシュ・メタルに繊細な旋律を乗せた美しくも過激なメロディラインは、かつてクラシックの道を目指したYOSHIKIさんの手腕によるもの。
YOSHIKIさんご自身には、お兄さんはおらず、むしろ2人兄弟の兄の方であられます。
鍛え上げられた肉体美も誇り、高速ドラミングに加え、その鍛錬された鋭い指先で流麗にピアノを……無理がありますかね。
そのキャリアの大半で首や頸椎、手首などに爆発物を抱え続けてきたYOSHIKIさん。
2017年5月には頸椎の手術を行い、そのはやくも二か月後に『X JAPAN』のライブで復活ののろしをあげておられます。
ジャイアントデビル『マウント斗羽』
あの『本部流柔術免許皆伝』の『花田』に制裁を加え、地下闘技場に参戦した30年以上第一線で活躍してきたカリスマプロレスラー。
奇想天外な挑戦でプロレスを体現してきた猪狩に対し、アメリカンスタイルの王道プロレスを掲げて観客を楽しませてきたプロレス界の象徴。
高齢をものともせず、その経歴によって身に付けた、打撃や出血に対する免疫度は段違いである。
なおかつ規格外の体格とパワーで繰り出す技の切れも鋭く、蹴りは一流空手家、ブローは重量級ボクサー並み。
あまつさえ209cm、105㎏の巨体で高く高く宙に舞う!
・・・これだけ書くとチート過ぎですね(笑)
結局のところ、ヒザへの負担で敗北を喫するのですが、それは長年プロレスを支え続けてきたからこその重みでありました。
猪狩と対戦する外伝では、モデル同士では若手時代を除いて実現出来なかった『夢の対決』を実現させるに至りました。
プロレスファン、夢の死闘を繰り広げ、マットの上で息絶えた……はずでしたが……
一説には花田のキャラが立たなかった為、急遽登場することになったという話も。
確かに花田はぱっとしなかったですものね。
初期のテコ入れとして、ここまでのビッグネームは持って来いだったのかも知れません。
斗羽のモデルは?
その姿を見ただけで、10割の人は斗羽のモデルは、故・ジャイアント馬場さんだと気づくことでしょう。
刃牙関係なくエピソードを書いていくと本が何冊も書けてしまいます。
某クイズ番組での温厚で大らかで天然な馬場さんの姿が……
え?知らない?
見てない?
生まれてない?
名場面集動画もあるのでぜひ見てください!
斗羽の本名は斗羽正平といいますが、馬場さんの本名も馬場正平。
そしてその経歴と師匠の『力剛山』……武者修行時代の斗羽は「ジャイアント・デビル」なんて呼ばれちゃってますし、もはや隠そうという意思はみじんもありません。プロ野球はやってなかったようですが。
刃牙の中で繰り出す脳天唐竹割りや16文キック、32文ロケット砲、ココナッツクラッシュ、河津掛けといった技は馬場さんの象徴的大技です。
16文とはいいますが実際には足のサイズはアメリカ規格の16号で、実サイズ32cm程だったとか。
新聞記事で単位が取り違えられたのです。
まぁ・・・斗羽さんの足は40cm(16文)くらいありそうに見えちゃいますものね。
斗羽といえばの葉巻ですが、これもアメリカ時代からの馬場さんのトレードマーク。
1本1万円していたそうです……
床に汗のように水がたまるほどのスクワットをしておられた話は「徹子の部屋」でも語られたところで、今も黒柳徹子さんは、馬場さん直伝のスクワットを日課としています。
馬場さんの追悼の意も込めて描かれた猪狩とのTI対決の最後、斗羽の叶えた夢は馬場さんの夢でもありました。
余生はハワイで絵を描く生活をしたいと語っておられたのです。
優しい世界・・・(泣)
八百長の代名詞!?『力剛山』
斗羽の師匠として、観客を楽しませるプロレスを叩きこんだ、大相撲元関脇上がりのプロレス王。
地下闘技場のチャンピオンでもあったようです。
外伝では刃牙のおじいちゃん、勇次郎の父である範馬勇一郎とも戦い、勝利しています。
この試合が八百長試合であったことに激怒した外伝の主人公、若き日の愚地独歩によりボコボコにされるわけですが・・・
後に極道者に刺され、死亡。
斗羽がプロレスラーに絶対に喧嘩に負けない強さを求めるきっかけとなります。
しっかし、地下闘技場チャンピオンって、昔はレベルが低かったんですかね?
うーん?
『後付けに次ぐ後付け&外伝での後付け』で、強さのバロメーターが崩れてしまったキャラなのかもしれません。
力剛山のモデルは?
力道山。
長々と語るまでもなく、戦後の日本を勇気づけたスーパーヒーローにして、国民的英雄です。
大相撲出身のプロレスラーで、総理大臣以上の知名度を誇りました。
彼の雄姿を見ようと、街頭テレビの前には黒山の人だかりができたといいます。
必殺の空手チョップは、独歩のモデルの1人、中村日出夫さんに習ったとか、実は習ってないだとか……
暴力団組員により刺殺されますが、ジャイアント馬場さんやアントニオ猪木さんのほか、数々の弟子を育て日本プロレス界の父と呼ばれています。
猪木さんをモデルとする刃牙の猪狩(後述)が力剛山の弟子だったのかは不明ですが、多分弟子だったのだろうと思われます。
その素行にはいろいろと問題があったらしく、猪木さんの馬場さんへの羨望とハングリー精神を育んだであろうことは疑いありません。
力道山さんと範馬勇一郎のモデルである木村政彦さんとは、元タッグパートナー。
袂を分かった後、実際に「世紀の一戦」「昭和の巌流島」と呼ばれた異種格闘技戦を行っています。
(後に八百長も告発されています)
木村さんの仇を打とうと、独歩のモデルのもう1人である大山倍達さんは力道山を執拗に狙い続けたともいいます。
余談ですが、力道山さんは花山薫のモデル、花形敬さんとも親交がありました。
花形さんの所属する組の幹部に力道山さんがおちょくられた際、同席していた花形さんに「今から喧嘩をしたらどちらの味方につくか」を尋ね、「どっちにもつかないよ」との返答を得てから喧嘩に及んだというエピソードがあります。
花形さんの喧嘩強さを示した一幕です。
ヂギールの誇り高き戦士『ユリー・チャコフスキー』
ジュニアウェルター級世界チャンピオンのプロボクサーで、全階級を通じて世界最強と称される男。
6階級制覇を現実的な目標とする、時系列上は刃牙の最初の好敵手。
誇り高く精鋭無比なる騎馬民族・ヂギール族のモンゴル系ロシア人です。
一度は刃牙を悔し泣きさせる程に完全勝利しますが、刃牙の山籠もり修行の後にはかなり追い抜かれていた様子。
そして、ついにヘヴィ級のリングに上がろうというその矢先、花山にボクサーの命である腕を握撃で破壊されてしまいました。
(この頃の薫ちゃん、キレッキレのキチっぷり)
拳が握れなくなったはずが、同じく再起を危ぶまれていた花山と共に復活。
対勇次郎戦を前に、花山と二人体制で刃牙とのスパーリングを行うなど、深い絆を育みました。
花山を許したのがすごい。
……のですが、その後登場はなし。
どうしているのでしょう。
ユリーのモデルは?
ペレストロイカのドサクサにより来日が実現したボクサー、アジア系ロシア人の勇利・アルバチャコフさんがモデルです。
ソ連でのアマチュア時代は世界並びにヨーロッパボクシング大会でチャンピオンを獲得した逸材。
来日後プロデビューしています。
WBCフライ級チャンピオンとなり、9度の防衛を果たしました。
スピード、パンチの共に鋭く、精密機械のようなコンビネーションと強烈な右ストレートを得意としました。
今も国内所属の中でパウンド・フォー・パウンド(階級無差別)最強は誰かといった議論で必ず名前の挙がる選手です。
現在の勇利さんはロシアに戻り、日本人の奥さんと共にジム兼カフェバーの経営やプロモーターとして活動しています。
刃牙世界のユリーも故郷で新たな生活を送っているのかもしれません。
勇利さんが引退時に言い残したように、人外との関わりに「もう疲れた。もうたくさんだ」と思ったのかも。
なお、ペレストロイカのドサクサでは後述の「霊長類最強」アレクサンドル・カレリンさんも来日の予定がありましたが、実現はしませんでした。
熊肉大好き『安藤玲一』
人里から遠く離れた岐阜県の飛騨山系に山小屋を構える巨漢。
ユリーに敗れた刃牙が涙目で修行に訪れた時、人間の顔を見たのは一年半ぶりだったといいます。
山岳監視員らしいが、業務連絡や買い出しは無線だけで済ませていたのでしょうか。
勇次郎とは共に丸太の斧での一刀両断を競い合った仲で、刃牙とも知遇。
素手で月の輪熊くらいは仕留めることができますが、夜叉猿に腸をえぐられ、指をちぎられ、お腹を火薬で爆発させられ、小屋の食料を食べつくされます。
後の二つは夜叉猿関係ないのですが。
後に夜叉猿Jr.を最強トーナメントへ連れてきたり(かわいそうだろ!)、毒に侵された刃牙に薬を調合したりします。
彼がいなければ刃牙は夜叉猿に殺されていたでしょうし、烈さんに連絡しなければ、刃牙は毒で絶命していたでしょう。
再起不能の怪我や折れた歯など、勝手に治ったりする刃牙世界でも、その指は治癒せず。
>>>夜叉猿の強さはどれくらい?かわいそうな猛獣グラップラーの末路
モデルとなったアンドレ・ザ・ジャイアント
フランス出身の「大巨人」、アンドレ・ザ・ジャイアントさんがモデル。
「巨大なる人間山脈」
「世界8番目の不思議」
などの数々の異名を誇り、70年代から大活躍。
90年の再来日では馬場さんとの夢のタッグ「大巨人コンビ」も結成しました。
身長223cm、体重236㎏と並外れた体格の上にテクニックも兼ね備え、世界を股にかけた巨漢プロレスラー。
馬場さんと同じく、成長ホルモンが過剰に分泌されるいわゆる「巨人症」で、安藤さんも同様の症状であると思われます。
安藤さんと言えば豪快な食事シーンと飲酒シーンですが、アンドレさんは特に飲酒に関して様々な酒豪伝説を残しています。
特にビール。やばいです。
700戦無敗『ディクソン』
13歳で世界武者修行の旅に出た刃牙(行く先々で学校に通ったのでしょうか?)が、その旅路の最後で出会った人物。
公式記録700戦無敗を誇るも、トーキョーの地下闘技場で惨敗。
「なにもかも失うぞアミーゴ」と人間性や人気、キャラの魅力、貞操などを将来失うことを示唆しつつ、更なる強さを求める刃牙に帰国と地下闘技場への参戦を薦める。
下記のようなモデルを持ち、「誰でも知ってるそんなディクソンがこんなんなっちゃうんだぞ!」ということを印象付ける面で、地下闘技場への案内人という役柄は大変にふさわしいものと言えます。
ディクソンのモデルは?
ブラジル出身の柔術家・総合格闘家。
格闘技に疎くとも『ヒクソン・グレイシー』さんの名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ブラジリアン柔術・グレイシー柔術の名を轟かせ、総合格闘技界で台風の目となった「グレイシー一族」の中でも最強であり、そっくりそのまま総合格闘技界の最強に昇りつめてしまいました。
「400戦無敗」の呼び名にふさわしい活躍は今も語り継がれています。
大変ストイックな性格で、「アミーゴ」とか言っちゃう軽いキャラではなかった模様。
アントニオ猪狩
地下闘技場の元闘士で、斗羽と共に日本プロレス界を牽引してきた重鎮。斗羽の保守的な王道プロレスに対し、実力至上主義の「ストロングスタイル」を唱え、その証明のための異種格闘技路線などに打って出て一時代を築いた「燃える闘魂」。
シャイシャイ。
最大トーナメントには本名の猪狩完至で出場。
勝つためには卑怯な手もフルに活用しながらも観客を味方につける「人間力」を持つ一方、プロレスラーとして全ての攻撃を受け止める信念と覚悟、タフネスを誇る。
その実力は高く、その真骨頂は数々のプロレス関節技。
身体を引き絞って放つナックルアローは強烈で、相手の動きを止めるツボ、ギブアップなども使用。
大前提として体の柔らかい格闘家には真骨頂が通じないってのはちょっとかわいそう。
自分より体格とスター性にあふれる斗羽とはライバル関係にあり、目の上のタンコブと語っていました。
しかし相対する2人の姿はお互いへの憧れと敬愛にあふれたものでした。
猪狩のモデルは?
その姿を見ただけで、10割の人は猪狩のモデルはアントニオ猪木さんだと気づくことでしょう。
刃牙関係なくエピソードを書いていくと本が何冊も書けてしまいます。
猪木さんといえば張り手。闘魂注入ビンタ。
「元気ですかー」からの「1、2、3、ダァーッ」
これなら若い人も知ってるでしょう?
え?芸人の物真似しか分からない?
本名の漢字とかは違うのですがリングネームがそのまんまですし、やはり隠す気は元よりなさそうです。
国会議員はやってないようですが。
強烈なナックルアロー、延髄切り、卍固め(オクトパス・ホールド)など、猪狩も刃牙作中で猪木さんの技を次々に繰り出します。
猪木さんが猪狩のように卑怯な人間であるかどうかは……
ちょっと言及を避けつつ、刃牙作中でもフィーチャーされるモハメド・アリとの格闘技世界一決定戦、またの名を「世紀の凡戦」について少し。
この一戦では、猪木さんによるあらゆる立ち技の禁止(打撃も投げも)を皮切りに、とんでもなく不利なルールを押し付けられたという定説があります。
その為にああいう「アライ・猪狩状態」になったといわれているわけですが、実の所、そういうルールは存在しなかった、という説も根強いです。
事実、アリ陣営からもアリを書いた膨大な冊数の本にも、そんなルールがあったという証言は見受けられません。
出てくるのは猪木陣営からの証言だけです。
ではなぜ猪木はあんな態勢で……というのは、刃牙の中でも語られた、アリのパンチ封じの為という理由で説明できることです。
ともかく、少なくとも刃牙世界で行われたアライ猪狩戦では、無茶苦茶な裏ルールは結ばれていなかったようです。
馬場さんとの関係は諸説もあるので多くは紹介しませんが、兄と弟のように仲の良かった袂を分かつ前はもちろん、様々あったその後も、対立はしても敵対まではしていなかったことが端々のエピソードから分かります。
「馬場さんがいたから頑張れた」と猪木さんは各所で語っていますし。
いずれにせよ、お2人の関係やそれぞれがプロレスの頂点を目指すにあたって辿った道のりを知れば知るほど、奥深い『グラップラー刃牙』の世界にのめり込めること間違いなしです。
余談ですが、猪狩のセコンドの久隅公平は長州力に似ています。
デカァアアアアイッ『アンドレアス・リーガン』
デカアァァァァァいッ 説明不用!!(ちなみに不要表記は誤用です)
……だけでは何なので。
刃牙の対戦相手となったプロレスラーで、ボクシングもやっていた様子。
子供のころから全力を出すなと言われていたとのことで、本気を出せることを喜んでいましたがあっさりと敗れました。
リーガンのモデルは?
恐らくアンドレ・ザ・ジャイアントさんがモデルですが、安藤さんの項で紹介しましたし、デカい以外に特に類似エピソードはないので説明不用!!
アンドレさんを超える長身で、「超巨人」と呼ばれたエル・ヒガンテさんがモデルとの説もあります。
231cm。
デカァァァァァいッ。
アルゼンチン出身で、レスラーになる前にバスケットをやっていたという経歴が似て……似てる?
カタキン『ズール』
黒色人種の強靭な肉体で狩りの世界に生きる、大家族のお父さん。
ジャングルに住み、数十人の家族を素手で狩りをして養っているそうです。
そのファイトスタイルは野生の本能そのもの。
紆余曲折と3本勝負の末、本能で取った最適解・マウントポジションで刃牙を追い込みますが、金的への恐れにより敗れました。
野生児にはとりあえず金的だ、と誰もが思ったのか、その受難はピクルへと受け継がれることになります。
重症と見なされたのか、勇次郎乱入時には姿を消していました。
本部とかもいませんでしたが。
ズールのモデルは?
前述のヒクソン・グレイシーに「あんなにタフな試合はなかった」と言わしめた最強のライバル、レイ・ズールさんがモデル。
ヒクソンのプロデビュー戦など、2度対戦し、2度とも敗れています。
野生要素はなく、ズール家はブラジルの名門格闘一家。
レイさん自身はブラジル中を回って戦い続け、ヒクソン戦までバーリトゥード150戦無敗を誇っていたそうです。
ヒクソン戦以降、ズール家は凋落し、田舎で貧困生活を余儀なくされることになりました。
レイさんは一家を養うため、引退後もファイトマネーを稼ぐために戦っていたといいます。
子沢山かどうかは分かりませんが、息子のズルジーニョさんが出稼ぎの為に来日し、PRIDEに参戦していました。
ムエタイ『デントラニー・シットパイカー』
試合できた方のムエタイ選手。
ズールにあっさりと敗れました。
「ダメかもなこれ」と、タンカで運ばれていくシーンが有名。
デントラニーのモデルは?
「黄金の左ミドル」で伝説を残したタイ出身の重量級ムエタイ選手、チャンプア・ゲッソンリットさんがモデル。
その名は、ムエタイの歴史上に救世主として刻まれており、体格に優れる欧州出身のキックボクシング選手を単独で次々に打ち破りました。
80年代末から90年代は来日して活躍。
チャンプア(白象)の描かれたトランクスがトレードマークで、「超象」の名で親しまれました。デントラニーのトランクスにも象がおりますね(下ネタじゃないですよ)。
93年のK-2グランプリではアーネスト・ホーストと対戦し、失神KOでタンカで運ばれています。
善戦の為拍手の中送られたというのが、デントラニーとは大きく違う所です。
地味すぎ?『ロブ・ロビンソン』
キックボクシングの世界統一王者で、猪狩と対戦。
当初足技主体に攻め立てるも、あっさりと敗れました。
その後、最凶死刑囚編でまさかの再登場。
通り魔的に(通り魔まんまですが)ドイルに襲われました。
紳士的に応対するも聞き入れてもらえず、胸ぐらをつかんだところ……あっさりと敗れました。
首から大出血……安否は不明です。
ロビンソンのモデルは?
モデルとなったのはピーター・アーツさん。
言わずと知れた、長年にわたってK-1を牽引し続けた「Mr.K-1」。
20世紀最強のキックボクサーです。
93年のK-1初開催から3度のグランプリ優勝、16回連続決勝トーナメント出場など一線で活躍し続け、2016年に引退宣言。
その伝説は実に長期間に及ぶものとなりました。
ロビンソンのトランクスにはSHAKURIKIの文字が見えますが、これはアーツさんの所属するドージョー・チャクリキをもじったものだと思われます。
横綱『金竜山』
大相撲の横綱で、協会にはないしょで最大トーナメントに参戦。
圧倒的重量を活かしたパワーとタフネスで、あの本部以蔵の痛恨のミスをうまく突き圧勝。
続くアントニオ猪狩戦では、巧妙に勝負の土俵を相撲のそれに持ち込まれてしまいました。
相撲で培われた本能から「かばい手」を出して猪木を助けてしまい、師匠にタオルを投げ込まれて敗北を認める。
試合運びから相撲が最強格闘技と称されるなど、その強さは未知数。
さらに、つい近年の花山のパンチを動じずに受け止めた勇次郎を、ぶちかましで数メートルも後退させています。
折れた腕で!
(勇次郎成長し続けてるらしいですし、骨折とかすぐ治っちゃう世界ですが)
その金竜山に敗北した本部の格は、下がるものでは全くないのであります。
バキ道にてイメチェン再登場!!
金竜山のモデルは?
「平成の大横綱」として相撲ブームを巻き起こした大相撲力士、貴乃花光司さんがモデルとなっています。
後に横綱になったお兄さんの若乃花が先に引退してしまったため、彼を最後に日本人横綱は現役の土俵に長らく現れませんでした。
20回を超える優勝などの数々の記録を残し、現在は親方、日本相撲協会理事として相撲界に革命を起こしつつ、後進の指導に当たっています。
刃牙には金竜山の師匠が印象的に登場しますが、貴乃花さんの師匠は父である先代貴乃花さん。
モデルなのかは分かりませんが、刃牙作中でも親子さながらの強い絆を感じさせました。
金竜山は本部相手に大金星を上げていますが、貴乃花さんが生涯に挙げた金星は、ちらっと出てきた龍金剛のモデルともいわれる千代の富士さんから上げ、引退を決意させたものだけです。
これは金星を上げる暇がないほど昇進のスピードが異例の早さだったためです。
余談になりますが、この金星には先代貴乃花さんも、台頭してきた千代の富士さんに金星をあげられて、引退を決意したという背景があり、熱い血のドラマを感じさせますね。
……実際の血のつながり? それは憶測しちゃダメなやつです。
ハラショー!『セルゲイ・タクタロフ』
体感温度氷点下62度、吹雪の舞う極寒の中、岩満載のトロッコを引き上げるほどのパワーを持つサンボ全ロシアチャンピオン。
勝利を偉大な師とロシアに捧げようとしていたが、烈海王にあっさりと敗れました。
あまつさえ、祖国を同じくするリザーバーのアレクサンダー・ガーレン(素っ裸)に制裁を加えられました。
別に意味深じゃないですよ。
タクタロフのモデルは?
ロシア出身の総合格闘家、オレッグ・タクタロフさんがモデルです。
偉大な師匠の下でトロッコをひいていたようなエピソードは見当たらないのですが、ロシアの厳しい自然と軍隊生活で育んだハングリー精神を持ち、世界サンボ選手権で2度優勝、アメリカの総合格闘技大会「UFC」で優勝。
来日しての活躍もありました。
幼い頃にモスクワオリンピックを見て柔道の山下泰広さん(刃牙では初期に登場したおでん屋さんのモデル……かも)に魅せられ、サインをもらったというエピソードもあり、後に柔道・グレイシー柔術で黒帯を取得しています。
俳優としても活動し、結構有名な作品に出ておられます。
鉄拳『ラベルト・ゲラン』
ボクシングでは3階級制覇、喧嘩なら全階級制覇との触れ込みで登場。
プロでは70試合だが喧嘩では2000回を経験してきたという「パナマの鉄拳」。
強キャラに似た強そうな見た目をしています。
夜叉猿Jrにあっさりと敗れました。
ゲランのモデルは?
モデルは本部……ではなく、すさまじい威力の強打で「石の拳」と呼ばれたボクサー、ロベルト・デュランさん。
実際に3階級制覇どころかライト級、ウェルター級、スーパーウェルター級、ミドル級の世界4階級制覇を成し遂げている、パナマの歴史的英雄です。
近年、伝記映画もつくられています。
防衛戦ではガッツ石松さんらと拳を交えた他、来日して異種格闘技戦なども行っています。
ゲランの戦歴が刃牙作中で語られていますが、実際には最終的に119戦103勝。
ゲランのコーチの言う70戦目まではほぼ負けなしです。
ボクシングに出会う前は喧嘩に明け暮れていたそうですが、さすがに2000回も喧嘩したのかは不明です。
数々の面白ほのぼのエピソードもあるだけに、ゲランの扱いは残念の一言。
直突き『稲城文乃信』
総合格闘技でもある古来の日本拳法を引っ提げて出場した、刃牙世界に珍しい好青年。
得意技は「直突き」で、洗練されたその拳は日本刀(匕首)を叩き折るほどの威力を誇ります。
弱者が強者に立ち向かう歴史こそが武道の存在意義であるとして、60年積み重ねられた日本武道の歴史をもって強者の暴力の象徴、花山薫に真正面から挑みます。
攻撃を飛び上がって足で受けるなどの巧みな技を見せますが、いかんせん相手が悪すぎました。
ヤクザ者の喧嘩意地(ゴロメンツ)を拝まされ、背骨を折られながらも最後は花山の腕を折ろうとする覚悟を見せました。
実は結構強そうに思えるのですが……
稲城のモデルは?
キックボクサーとして全日本の2階級を制覇、ミドル級の世界王者にも輝いた猪狩元秀さんがモデルと言われています。
本場タイのムエタイ王者を次々に打ち破り、「キックの貴公子」と呼ばれました。
75戦して64勝、57ものKOを量産した原動力となったのが、鋭く強烈な高速の右ストレート「マッハパンチ」。
格闘タイプのポケモンだったり関節を加速してうんぬんする技ではなく、源流にあったのは高校から大学時代に培った日本拳法の「直突き」です。
日本拳法の特徴、防具は身に着けないなんてことはなく、キックボクサーに転身後も身に着けて練習されていたのだとか。
引退後は古巣日本拳法協会理事長、首席師範を務めておられます。
ジョイント・フェチ『ローランド・イスタス』
関節技(サブミッション)に重きを置く、キャッチレスリングの全欧チャンピオンで、レスリング界の至宝とされています。
師匠には独歩との因縁アリ。
付いた通称がジョイント・フェチ(関節愛好家)。
ジョイント・アレルギー持ちで、小さい頃から繋ぎ目を見ると離れさせずにはいられません。
あらゆるものを分解し、手繋ぎカップルを見ればその手を離れさせ、わざわざアフリカへ行きライオンに関節技をしかけるなどしていました。なにそれこわい。
ブ厚い筋肉に包まれた克己の肩と肘の関節を一瞬で外してのけ、完璧に腕を折れる態勢までもっていくものの、敗れてしまいます。
なんか性癖がジョジョのアナスイに似てるな・・・
殺人鬼ではありませんが。
イスタスのモデルは?
「プロレスの神様」とあがめられるカール・ゴッチさんがモデル。
特に姓はゴッチさんの本名のカール・イスタスからそのまま取られています。
アメリカのプロレスで関節技が使われなくなっていく中、テクニックや多彩な関節技を重視したヨーロッパ式の「シュートスタイル」をその後のスターたちに伝授。
その教えは猪木さんの「ストロングスタイル」にも繋がり、今日の日本の総合格闘技の多くに根差しているスタイルも、ゴッチさんの伝えたプロレスの発展形です。
本場仕込みの高いテクニックを持ち、得意技のジャーマン・スープレックス(原爆固め)は「プロレスの芸術品」と今も語り継がれるほど。
ゴッチさんは日本プロレスのコーチなどとして「鉄のシゴキ」を行い、プロレス界のみならず日本格闘技界の発展に多大な貢献をされました。
非常にストイックで、80歳を過ぎてもトレーニングを日課とし、いかに効率よく人間を倒すかを模索していたといいます。
しかし、ライオンの効率のいい分解法を極めるようなジョイント・フェチではなかったようです。
当然アレルギーもなかったご様子。
2017年は没後10年の節目の年。
猪木さんの発案で、日本国内に墓碑が建立されるそうです。
多くの弟子たちの心に刻み込まれた礎の象徴となることでしょう。
ファイティングキッズ『アイアン・マイケル』
世界ヘヴィ級王座に就く、ピーク時には間違いなく史上No.1だったボクサー(日本在住ボクシングマニアの少年談)。
ワンマッチ1000万ドルを稼ぐといい、自身の最強を証明するために最大トーナメントに参戦します。
史上最強ってことは、勇次郎も認めたアライの全盛期以上ってことですよ。
ボクシングや対戦相手への姿勢は真摯で、おまけに性格も親切と申し分なし。
が、体も鍛えていない、格闘技は素人である、日本の暴走族特攻隊長のド根性になぜか、かなわないのです。
格が違いすぎるはずのこの一戦、途中でグラブを取り去り、最後はノーガードでの殴り合いになります。
それでもただの不良を沈めることができないのです。
おかしいだろ!
グラブは外さない方が攻撃力が強いみたいな話もあった気がしますが、あんまりです。
試合は拳の損傷を見とがめたセコンドの水入りで反則負けになってしまいますが、乱入がなかったらヤンキーは死んでいたかもしれません。
セコンドの英断は、マイケルの輝かしい未来を重い罪から救ったのです。
どうせ拳なんて勇次郎乱入時には治ってましたし。
忘れられた頃に、はかない幻の姿で来日。
その後、また忘れられた頃にアメリカ大統領を拉致した罪で、極悪人用の収容所に収監されてきた主人公と再会。
結局罪を犯して捕まっとるんかい!
そして髪はどうしたんだ。
マイケルのモデルは?
史上最年少の20歳で世界ヘビー級王座を獲得し、史上最強との評価をモハメド・アリと二分する近現代で最も偉大なアスリートの一人、マイク・タイソンさんがそのモデルです。
その実力についてはあんまり反映されていなさそうなので置いておいて、マックスのやっていたピーカブースタイルの代表的な使い手でもあります。
デビューに至るまでの経歴は、ブルックリンの喧嘩小僧どころのレベルではありません。
主に窃盗で通算50回以上も少年時代に逮捕されており、警官から銃を向けられることも日常茶飯事でした。
タイソンさんは凶悪な少年ばかりが送られる少年院での、1対1の喧嘩にはまりこみます。
拳を通して育んだ絆は、外の世界では感じることのできないものでした。
そして、壁の中にしか彼の仲間と呼べる存在はいなくなっていきます。
法廷では「少年院に帰りたい」と主張し、そのために幾度もの犯罪をわざと行ったといいます。
ボクシングと出会ったのも収容所の更生プログラム。
以降は猛練習が支えた破竹の快進撃が始まります。
いろいろと私生活で問題も起こりますが、それでも順風満帆でした。女性への暴行疑惑で収監されるまでは。
タイソンさんには、ワンマッチ1,000万ドルのマックス以上の稼ぎがありました。
91秒で決着したスピンクス戦では1秒につき22万1,000ドルを稼ぎだしています。
しかし引退後はホームレス用の収容所で暮らしていたような時期も……
大人になってからも暴行や麻薬所持で何度か逮捕されていますし、マックスが収容所で刃牙と再会したのも頷けるというもの……?
転落ぶりも何となく重なるような……
現在は映画俳優などとしても活躍し、経済面でも安定しているご様子です。
柔道『畑中公平』
柔道界から完璧な打撃対策を行った上で最大トーナメントに出場。
真面目で対戦相手を気遣う好青年な一面も見せました。
一本背負いから関節を決めて腕を折るなどの巧みな技術をみせましたが、対戦相手は気迫と負けん気だけで国際マラソンをトップで走り抜けてしまう(らしい)ツッパリ。
その異次元の度胸と根性の前に敗れました。
その後の勇次郎乱入シーンではとてもかわいそうなポーズをさせられる羽目に……
畑中のモデルは?
最大トーナメント編の終了以降に総合格闘技界にも参戦した、某金メダリストがモデルだとするファンも見受けられます。
他にも名前が挙がる方はいるようですが……
まだ現役バリバリのモデルのいるキャラクターに、あんなポーズをさせるでしょうか?
板垣さんならやりかねないのでしょうか?
そうですか。
他のキャラの扱いはマトモと言えるのかという追及をかわしつつ、とりあえず詳しい紹介は避けておくことにいたします。
得意技などの観点から見ても、モデルと決めてしまうのは早急であると思われますので。
少林寺『三崎健吾』
修行の成果を確かめるため、破門されてまで出場した少林寺拳法の使い手。
劇中には小林流拳法なる少林寺によく似た流派も登場していますが……とりあえずなかったことに。
高速連撃「飛燕」や相手の体を傷つけることのない関節技、バリアを張り巡らせたような迎撃術などは演武のようで、「キレイな戦い」と称されました。
しかし、パワー不足だったのか、ジャック・ハンマーには「よく組み立てられた完成度の高い技術体系」は通用せず。
噛みつき連撃の餌食となることに。
三崎健吾のモデルは?
「剛法の三崎」と呼ばれた少林寺拳法の伝説の達人・三崎敏夫さんからその名を取っているといわれています。
開祖である宋道臣(刃牙における寂海王のモデル)の直弟子で、少林寺では本部事務局長などを歴任されました。
護身術である少林寺拳法においては守ってからの反撃が基本。
合気道のような投げや固め、極めによる反撃技の「柔法」に対し、空手のような蹴りや突きといった打撃による反撃技を指すのが「剛法」です。
同じく高弟の中野益臣さんとの演武は開祖を驚嘆させる迫力があり、演武を見て感激して入門を決意した者が多数いた……とwikipediaに。
お2人で行った演武で世界大会に優勝されているとのこと。
色々調べましたが情報がなかなか出てきません。
東京の国立国会図書館の蔵書には『三崎敏夫先生追悼文集』が収められているということなので、お近くにお住まいの方は読んでみてはいかがでしょう?
少林寺拳法は試合というものを行わないことで知られており、他流試合なんてもっての他です。
そのため、三崎健吾は破門をされてトーナメントに出場しているのです。
プロレス『マイク・クィン』
フェイスペイントが印象的なアメリカン・プロレスラー。
ボクシングではG.G(ゴールデングローブ)にも出場したらしいです。
映画の文化賞ではなく、伝統あるアマチュアボクシング大会です。
一発も有効打を三崎健吾に当てられないまま、あっさりと敗れました。
しかもギブアップで。
プロレスラーのタフネスと覚悟とはなんだったのか……まさにピエロ。
最大トーナメント出場者の中で、無傷で閉会を迎えたのは実は彼だけです。
マイクのモデルは?
モデルとなったのは、アメリカで活躍したプロレスラーのアルティメット・ウォリアーさん。
なんと出身地は「Parts Unknown」……日本では「未知なる世界」と訳されていました(ちなみにアメリカのインディアナ州です)。
顔にカラフルなペイントを施し、たなびく金髪、派手な衣装とパフォーマンスで人気をさらったWWF(現在のWWE)王者。
ボディビル出身による筋肉美から「超合金戦士」の異名をとりました。
その真骨頂は今でいう出オチ。
ショー的要素なんてお構いなしに、トレードマークの全力疾走での入場の勢いのまま、テクニックおかまいなし、パワーまかせで最初からぶつかっていくのです。
一瞬で勝負を決めてしまうこともしばしばでした。
マイクもまあ出オチですよね……
近年WWE殿堂入りも果たしましたが、翌日に心臓発作で亡くなっておられます。
まるで全てをファンのためのパフォーマンスに捧げたかのようでもあり、21世紀になってもアメリカンプロレスのアイコン的存在であり続けています。
ブラジリアン柔術『セルジオ・シルバ』
他流試合で後れを取った記録のないブラジリアン柔術からのエントリーで、なんでもありのバーリトゥードルールなら最も有利と思われていたそうな。
ジャック・ハンマーを一歩も動かせずに後れを取り、アッパーカットでブンブンブンと回転してあっさりと敗れました。
以前から、同じくブラジリアン柔術を使うディクソンの、地下闘技場での後れの取りっぷりが示されていたわけではありますが。
セルジオのモデルは?
ブラジリアン柔術黒帯、バーリトゥード300戦無敗の触れ込みで「狂犬」と呼ばれた総合格闘家、ヴァリッジ・イズマイウがモデル。
PRIDEなどで活躍しました。
荒々しい喧嘩ファイトが売りで、特に寝技・締め技には定評がありました。
セルジオもジャックをタックルで倒せていたらワンチャンあったのかもしれません。
絶対噛まれるけど。
猪木さんとテレビカメラが大好きなことでも有名。
グレイシー柔術家なのですが、主流なエリオ派のグレイシーの血族を4人も倒した「グレイシーキラー」として知られています。
1人は試合ではなく喧嘩で倒したのですが。
グレイシー柔術と一口に言ってもいろいろな派閥があります。
創始者のカーロス・グレイシーさんには21人も子供がいたからです。
余談ですが、刃牙のモデル平直行さんが師事したのは、イズマイウの師匠・カーウソングレイシーさんの弟であるカーリー・グレイシーさんです。
現在のイズマイウさんはプロモーターとして、猪木さんと世界を股にかけて活躍しておられます。
愛国者『アレクサンダー・ガーレン』
マイケル戦でズダボロになったチーマーにドクターストップの判断が下ったため、最後のリザーバーとして登場したロシア出身の怪物レスリング選手。
全裸でタクタロフを襲う(意味深じゃないですよ)、あの花山薫(とドクターストップのかかっている大怪我人)をぶちのめす、なぜか巨大アナコンダと戦うなど、異例の鳴り物入りでの登場でしたが……
手枷を自ら懇願するなど(意味深じゃないですよ)、すさまじいまでの愛国心を持ち、重機無用の労働力で祖国に大貢献。
大人しく重機を使いましょう。
一度もレスリングの練習をしたことがなく、600戦無敗の戦績は怪物的な天性の資質のみで積み重ねたものです。
ちゃんと練習してたらよかったのに。
花山のパンチが効かない耐久性、連続バク宙からの月面宙返りを決める非常に高い身体能力を類まれな巨体に合わせ持ち、そのパワーは作中でもトップクラス。
巨漢のジャック・ハンマーを何10メートルも投げ飛ばします。
しかし、その最強もあくまで人類の範疇のものでしかなく、ジャックの人類を超える執念とドーピングの前にあえなく敗退。
その後は死刑囚シコルスキーにも敗れ、シリーズ一番の期待外れ、かませ犬と呼ばれることに……
多分かなり強いはずなんですが。
ジャック戦で噛みちぎられた指は、やはり治癒しなかった様子。
かじり取られると治らない、そんな世界なのかもしれません。
ガーレンのモデルは?
レスリング・グレコローマンスタイル130㎏級で13年間負けなかった「霊長類最強の男」、ロシアの英雄アレクサンドル・カレリンさんがモデルです。
3度オリンピックに優勝し、4度目のオリンピックでは銀メダル。
要するに吉田沙保里さんの男性版ってことですか。うん、これは強い。
もちろんレスリングの練習はしっかりやっておられ、非常な過酷な練習エピソードの数々も有名です。
その強さの象徴が、ベンチプレス320㎏の剛力と400㎏の背筋力から繰り出される反り投げ「カレリンズ・リフト」。
130㎏ある対戦相手の胴体を抱え込み、軽々と持ち上げて強引な投げで宙に舞わせるという、単純でありながら誰にも不可能だった非常に強力な技です。
「対戦相手が投げを恐れてフォール負けを望む」というガーレンのエピソードは、そのままカレリンさんのものから取られています。
生誕時に体重が10㎏を超えていたガーレンに対し、カレリンさんも生まれた時点で6.8㎏あったといい、これは平均の倍もある出生体重です。
ちなみに、ガーレンが600戦無敗なのに対し、カレリンさんは公式戦で世界選手権9連覇、欧州選手権10連覇を含む300連勝を成し遂げています。
その祖国への忠誠心の深さは、国会議員となっての活動や「カレリン基金」の設立に表れている……のかもしれません。
バランスの良い『山本稔』
「あのバランスがいい」シュートレスリング選手。
完成された格闘技を見せるだけのことだ、とセコンドに伝えて闘技場に姿を現しました。
捕まえるまでが勝負、と冷静な分析を行うも、空中浮遊マジックを行う相手を捕まえることなど出来ようはずもありません。
あっさりと天内に敗れました。
ファンブックによると、バランスが良かったのは「攻防」の模様。
作品中でのバランス取りは、その後作品から完全に退場する天内の引き立て役というなんともいえない結果となりました。
山本のモデルは?
格闘団体「パンクラス」を立ち上げ、総合格闘技界で革新の先鞭をふるった「ハイブリッドレスラー」船木誠勝さんがモデル。
プロレスが格闘色を高めていっていた90年代、タイガーマスクに憧れて史上最年少でリングデビューした船木さんにも、新たな道に進まざるを得ない状況が来ていました。
プロレスを愛しながらも中途半端を望まなかった船木さんは、理想とする「真剣勝負・完全実力主義のプロレス」として「パンクラス」をスタートさせます。
前述のゴッチさんもコーチに招かれ、選手たちを鍛えました。
時代の流れに乗り、「パンクラス」は最大トーナメント編連載当時には総合格闘技へと移行。
「秒殺」が次々に起きる真剣勝負の場として、一時代を築き上げました。
様々な道を経て、現在の船木さんはプロレスラーに戻っておられます。
真の強さを模索してきた船木さんにとって、プロレスリングこそは原点でもあり、格闘技を通じて進化した自分を一番出せる場所だったのかもしれません。
映画好きとしても知られている船木さんは、俳優としても活躍。
憧れだったタイガーマスクも演じました。
なお、堤防から転落しかけた息子さんを助けた際、自らはバランスを崩して落下したという逸話があります。
息子さんは無事でした。
生死不明『天内悠』
折り畳まれた方のムエタイ選手(ジャガッタ・シャーマン、モデル不明)に代わって出場することになった、範馬勇次郎紹介の謎に包まれた乱入者。
元アメリカ大統領のSPで、細かな気配りのできる美形男子。
その忖度力の源は、要するに相手が何を欲しているかを事前に察すること??愛です。
あろうことか、天内は愛こそが勝ち続けるために必要不可欠と勇次郎に語ります。
なんでも、その逆に最も相手が欲していないことを事前に察知し、先手を打つことも相手への気配り、つまりは愛なくしてはできないというのです。
勇次郎の心中やいかに??というのは後で明かされるわけですが。
闘いの中にあっては天内流格技を用い、長い手足を活かした空中殺法と関節技を用います。
人間の動きでは不可能な、助走及び予備動作なしの高度へのジャンプが行え、アニメ版ではまるで空にふわりと浮かび上がるかのように演出されています。
あまつさえ、某赤い配管工の無限1UPのように対戦相手を何度も何度も踏みつける技を放ちます。
いくら山本選手のバランスがよかろうと、こんな非常識な技に反撃ができるわけがありません。
アニメ版のシュールさはすさまじいので、ぜひ見ておくべきだと思います。
独歩戦では大逆転で勝利をつかみかけるが、懲りずに愛を語った為に勇次郎の怒りを買ってリタイア。
その後の生死は不明で、唐突な退場により『作者の板垣さんが天内に飽きたのではないか』と囁かれています。
彼の語った愛については、後に主人公の刃牙が開眼することになります。
それによりすさまじいパワーアップを刃牙が果たしたことから、天内の言っていたことは正しかったと推察されるのですが……
刃牙が愛を知るきっかけとして勇次郎のうながしもあったわけですし、天内への怒りは理不尽すぎると言うしかないのではないでしょうか。
天内のモデルは?
外見上のモデルが女優であり、宝塚歌劇団のトップスターだった天海祐希さんだというのは、天内を見れば分かることです。
宝塚時代、また女優になってからも数々の伝説を残している天海さんですが、格闘技の経験はないはずです。
宝塚時代に宙吊りで空を舞う格闘家の役をやっていたこともないはずです。
手足が長いこともありません。
板垣さんが宝塚歌劇を見て天内の参戦を思いついたらしいのですが、天内と天海さんの顔以外の共通点……うーん。
恐らく板垣さんが見たのは『ベルサイユのばら』のアンドレ役だと思われます。
劇中で天海さんの歌う『愛あればこそ』(愛それは~ってやつです)に影響を受けて、天内が勇次郎に愛を語ることになった、というような仮説を立ててはみるものの、いささか苦しい気がしてなりません。
バウンサー『リチャード・フィリス』
10年もの間毎晩のように暴れる客を相手に殴り合ってきたという、シカゴのナイトクラブのバウンサー(用心棒)。
店での喧嘩の回数は過去2000回にも及ぶといい、毎晩ではないにせよかなりの頻度でトラブルが起こっていたとんでもない店であることが分かります。
地元では地球一のタフ・ガイと呼ばれ、ヘビー級ボクサーも含まれる喧嘩相手の攻撃をよけたことがないといいます。
一方でその技量は高くはありません。
この世界では、基本、タフな人は格闘技術を磨くことがないのです。
トーナメントにはエレガントなタキシード姿で登場。
独歩と西部劇のような派手な殴り合いを演じ、独歩にこの試合で封印していたはずの空手の技を出させ、あっさりでもなく敗れました。
その後、乱入した勇次郎にすごい蹴られ方をしていました……大丈夫なんでしょうか。
フィリスのモデルは?
「生傷男」「悪くて強くて凄い奴」と呼ばれたアメリカ出身のプロレスラー、ディック・ザ・ブルーザーさんがモデルです。
本名はウィリアム・リチャード・アフィルス。
そのまんま引っ張ってきすぎですね。
学生時代は素行の悪さで退学・追放処分を繰り返していたそうで、7つの大学を渡り歩いた間の2年7か月ほどは酒場のバウンサーをしていたそうです。
ちなみに卒業はできず。
そんな生活が送れたのは実家が大金持ちだったからです。
攻め一辺倒のヒール(悪役)レスラーで、殴る蹴るの荒々しいファイトスタイルで暴れまわるという表現がぴったりくる選手でした。
来日しての活躍も数多く、馬場さんと幾度も同じリングで戦っています。
タッグファイトも得意で、馬場猪木の『BI砲』とも対戦しました。
フィリスの象徴ともなっているタフさは、モデルのご本人もやはり特筆ものです。
馬場さんが師匠の力道山に止められていた危険な技、脳天唐竹割りを解禁したのも、ブルーザーさんのタフネスに恐れをなしてのことでした。
エレガントなおしゃれさんでもあり、来日時には必ずスーツ姿でした。
タッグパートナーと共にバーバリーのコートを着込んだ姿は馬場さんを唸らせたといい、また、太い葉巻がトレードマークでした。
まとめ
振り返ってみると、故人となっておられる方がおられる一方で、つい最近まで現役であったり、現在も選手として活躍しているモデルさんがちらほらおられることに驚かされます。
これを機に、応援してみるのも楽しいのではないでしょうか。
ちょっと大人数になってしまいましたが、また続けて残りの登場人物のモデルも紹介、キャラクターと似たエピソードの掘り起こしをしてみたいと思います。