住宅購入費用。
新築本体工事の価格もさることながら・・・
「諸費用」が結構かかるんですよね。
見積りの項目には諸費用としか書いてなかったりして、具体的に話が進むまでは「なんのこっちゃ?」ってなりがちです。
どんなことに、どのくらいお金が必要なのか、確認していきましょう。
住宅諸費用とは
諸費用って言われても全く全容が分かりませんよね。
具体的には大きく分けて以下の通りです。
- 売買契約に関するもの
- 住宅ローンに関するもの
- 不動産の取得に関するもの
- 保険に関するもの
それぞれ細かく見ていきましょう。
1.売買契約に関するもの
- 「不動産売買契約書」に貼るための印紙代
- 仲介手数料
高額な契約を結ぶ際には収入印紙が必要となります。
また、土地の紹介に不動産会社が仲介している場合、手数料が必要となります。
印紙代
印紙は、課税文書に対して発生する国税です。
住宅購入時には、「不動産売買契約書」に貼って支払います。
契約書に書かれている金額によって、印紙税額が変わります。
国税庁のホームページには、文書の種類ごとの印紙税額が記載されています。
住宅の契約は、1000万円~5000万円の間に収まることが多そうですね。
この範囲内での契約の場合、印紙税額は2万円となります。
5000万円を超えてくると6万円にまでなりますし、バカに出来ない金額となってきますね。
仲介手数料
- 200万円以下の金額:金額×5.4%
- 200万円を超え400万円以下の金額:金額×4.32%
- 400万円を超える金額:金額×3.24%
仲介手数料は、土地の仲介に入った不動産会社に支払うものです。
これは必ずしもかかるものではなく、売主と直接取引をした場合では仲介手数料は発生しません。
また、成功報酬なので、契約が成立するまでは支払う必要はありません。
宅地建物取引業法によって上限額も決まっており、それを超えると法令違反になります。
仮に1000万円の土地を購入した場合、仲介手数料は36万円。
その内訳は非常にややこしいので省略しますが、ご興味のある方はこちらのページがよくまとめられています。
2.住宅ローンに関するもの
- 「住宅ローン契約書」に貼るための印紙
- 融資手数料
- ローン保証料
- ローン事務代行手数料
- つなぎ融資
住宅ローン契約書に貼るための印紙に関しては、売買契約時で述べたものと同じです。
融資手数料は金融機関へ、ローン保証料は保証会社へとそれぞれ支払います。
ローン事務代行手数料は、金融機関への手続きを不動産会社に代行してもらった場合などにかかるもの。
つなぎ融資は一時的に資金を用立てるためのローン。
下の2つは、必ずしも必要なものではありません。
融資手数料
- 定額型:3~5万円程度
- 低率型:借入額の2%前後
融資手数料、融資事務手数料と言ったりします。
こちらは、住宅ローンを組む際に金融機関に支払う手数料です。
「定額型」と「定率型」があり、金額は金融機関によって異なるので確認が必要になります。
仮に2%として、2000万円の借入れでは40万円、3000万円では60万円。
当然ですが借入額に合わせて高くなっていきます。
\その会社、大丈夫?/
※ダメ会社をあぶりだす。
住宅ローン保証料
住宅ローン保証料は連帯保証人の代わりとなるもので、保証会社へと支払います。
仮に契約者が住宅ローンを支払えなくなった際に、代わりに金融機関へと支払いをしてくれる・・・と思いきや、それはちょっと違います。
住宅ローンの支払いが滞ると、金融機関は保証会社へと「返済の立て替え」の請求をします。
これを代位弁済といいますが、これが行われるとローンの支払い先が金融機関から保証会社へと変わります。
つまり、住宅ローン保証料は「返済を免れるためのものではない」ということ。
あくまでも保証会社は、貸し倒れなど金融機関側のリスクを下げるためのものなんです。
支払い方法は下記の2つになります。
- 外枠方式:諸費用として一括払い
- 内枠方式:住宅ローンの金利に上乗せして分割払い
内枠方式は取り扱いのない金融機関もあるので確認が必要です。
保証料は借入額、支払年数、金利タイプ、など条件や金融機関によって金額が変わってきます。
三大メガバンクについては、下記のリンクで外枠方式・内枠方式それぞれ目安となる金額が提示されています。
外枠方式では、借入金額1000万円・借入期間15年・元利均等返済方式の条件で、最低12万円はかかると考えてよさそうです。
ローン事務代行手数料
ローン事務代行手数料は、金融機関への手続きを不動産会社に代行してもらった場合にかかるものです。
斡旋ローン・提携ローンなどを利用した場合にも、発生することがあります。
仲介手数料のように上限が決まっておらず金額に幅があるようですが、3万円程度のこともあれば50万円を超えることも!
とはいえ、10万円前後が相場のようです。
ただしローン事務代行手数料は、必ず支払うものではないんです。
あいまいな説明でにごされて、数十万円も吸い上げられてはもったいないですよね。
これは抑えられる費用です。
契約書に「ローン事務代行手数料」との記載があったら、いったいどの部分なのかを確認する必要がありますよ。
下記のような記載例もあるので注意が必要です。
- ローン斡旋手数料
- ローン事務手数料
- ローン斡旋料
- 融資事務代行手数料
つなぎ融資
つなぎ融資は、一時的に資金を用立てるためのローンです。
注文住宅の際に必要となる場合があります。
家を建てるには、まず土地を購入してから。
そのため融資が始まる前に土地代金の支払いが始まるため、その間を取り持つ資金が必要です。
それ以外にも、着工金や上棟金(中間資金)に利用されます。
住宅ローンの融資が始まるのは建物の完成後、引き渡された後のこと。
一般的には住宅ローンと同じ金融機関に申込みをして、引き渡し後に融資が始まったタイミングで全額返済します。
ここには、利息・事務手数料・融資手数料・印紙代などの費用が含まれています。
以下の点については、事前に確認が必要です。
- つなぎ融資を取り扱っていない金融機関がある
- 低金利の金融機関を探して利用できる場合がある
- 利息や回数などの条件が金融機関で異なる
借入期間は数ヶ月~1年以内、借入回数は金融機関によって異なります。
仮に下記の条件で年利2.90%・計3回の融資を受けた場合、概算で122万5400円の費用がかかりますし、印紙代や振込手数料なども別途必要になってきます。
- 土地代金:3000万円
- 着工時:900万円
- 上棟時:900万円
利息は平均2~3%と住宅ローンよりもやや高くなるので、資金に余裕があれば費用分だけでも現金で用意できるといいですね。
3.不動産の取得に関するもの
- 登録免許税
- 土地家屋調査士・司法書士への報酬
- 固定資産税・都市計画税
- 不動産取得税
不動産(土地・建物)を取得した時には登記が必要です。
そして登記には費用がかかるのです。
登録免許税は登記の申請時にかかる国税、土地家屋調査士や司法書士への報酬。
固定資産税・都市計画税・不動産取得税は地方税となります。
登録免許税
- 表題登記(表示登記):新築物件
- 所有権保存登記:新築物件
- 所有権移転登記:中古物件・土地
- 抵当権設定登記:住宅ローン借入れの担保
登録免許税とは、 登記の申請時にかかる国税です。
登録免許税の本則税率と特例税率
- 所有権保存登記:0.4% → 0.15%
- 所有権移転登記:2.0% → 0.3%
- 抵当権設定登記:0.4% → 0.1%
特定認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、特定の増改築などがされた住宅用家屋には、それぞれ特例税率があります。
登録免許税額は「課税標準額×税率」で算出します。
課税標準額は、市町村役場で発行される「固定資産税評価証明書」で金額の確認ができます。
土地家屋調査士・司法書士への報酬
- 土地家屋調査士:住宅を新築した際の「表示」に関する登記
- 司法書士:所有権・抵当権などの「権利」に関する登記
登記の際には、土地家屋調査士や司法書士への報酬が発生します。
下記のリンクから、報酬に関する情報が公開されていますよ。
土地家屋調査士への報酬は、建物表題登記で8万円前後となっています。
参考
土地家屋調査士への報酬「業務報酬統計資料」
情報公開:日本土地家屋調査士会連合会の概要【日本土地家屋調査士会連合会】
※記事が削除されてしまいました。
次は、司法書士への報酬です。
所有権移転登記で5万円前後、所有権保存登記で2~3万円、抵当権設定登記で3万円台後半が目安になります。
参考
司法書士への報酬 報酬アンケート結果(平成30年1月実施)
日本司法書士会連合会 | 司法書士の報酬
※記事が削除されてしまいました。
固定資産税・都市計画税
- 固定資産税:固定資産(土地・建物・償却資産)に対してかかる
- 都市計画税:市街化区域内の土地・建物に対してかかる
固定資産税と都市計画税は地方税で、毎年1月1日時点の所有者(固定資産課税台帳に「所有者」として登録されている人)に対して課税されます。
どちらも固定資産税評価額(課税評価額)に対して、それぞれの税率を掛けて算出します。
しかし市町村によって金額は大きく異なってくるのも注意です。
固定資産税は標準税率1.4%を標準として、市町村が具体的な税率を決定するのですね。
一方の都市計画税は制限税率0.3%となっているため、0.3%を超えることはありません。
固定資産税には、新築住宅での減額、新築の認定長期優良住宅での特例措置などがあります。
不動産取得税
不動産取得税は、 不動産(土地・建物)を取得した際に一度だけ支払う地方税です。
こちらは登記の有無に関わらず、交換・購入・贈与などの形で不動産を取得したすべての人(個人・法人)に課税されます。
「不動産取得日の課税標準額×税率」で算出します。
税率は4%(標準税額)ですが、2021年3月31日までは3%となっています。
新築住宅は、一定条件を満たすと軽減措置があります。
- 床面積が50平米以上240平米以下の住宅(マンションは共用部分の按分面積を含む)
- 中古の場合は「自分が居住する住宅」で、以下のいずれかを満たすもの
- 1982年1月1日以降に新築された住宅
- 建築士等によって一定の耐震基準に適合すると証明された住宅
- 購入後に耐震改修工事を行い、一定の耐震基準に適合すると証明された住宅
「宅地・宅地に準ずる土地」に関しても、2021年3月31日までに取得すると固定資産税評価額の2分の1に軽減されます。
4.保険に関するもの
- 火災保険・地震保険
- 団体信用生命保険
火災保険・地震保険は不動産に、団体信用生命保険は契約者に「何かあった時のため」に入る保険です。
火災保険・地震保険
火災保険は、火災の他にも自然災害を含むさまざまな災害への保険です。
災害以外にも事故や盗難など、トラブルへの保証もついています。
ただし、火災保険には地震への備えがありません。
加入の際には、火災保険・地震保険をセットで考える必要があります。
損害保険料率算出機構の「地震保険付帯率」のグラフを見ると、加入率は決して高くないことがわかります。
それでも、東日本大震災のあった2011年を境に少しずつ伸びていますね。
2016年には熊本地震もありました。
日本は地震大国といわれているので、備えたいと考える人が増えているのは当然です。
保険料に関しては、下記のような条件で大きく異なるため「相場はない」と考えていいでしょう。
自分たちにとってどのくらいの保証が必要なのか、事前に検討する必要がありますね。あわせてハザードマップの確認をしてみるといいですよ。
- 建物の種類:戸建て・マンション
- 建物の構造:M構造・T構造・H構造
- 保証内容:建物・家財・建物と家財の両方
- 契約年数
- 延床面積
- 特約の有無
団体信用生命保険
通称である「団信」の方が、耳にする機会は多いのではないでしょうか。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの契約者が返済中に亡くなった、または高度障害状態になった場合に、住宅ローンを全額返済をしてもらえる保険です。
住宅ローンの借入れの際には、団体信用生命保険への加入が条件となっていることがほとんどです。
保険料も、住宅ローンに含まれていることが多いでしょう。
「三大疾病保証付き」「七大疾病保証付き」などの特約を追加することも可能ですが、特約料がかかってしまいます。
生命保険なので「健康状態の告知」が必要になります。
告知内容は、持病や障害の有無、過去に大病を患ったことはないか、などです。
住宅ローンの借入れに団体信用生命保険への加入が条件となっている場合は、予定していた金融機関での借入れを断念しなければいけません。
ただし必ずしもセットではないので、組めるローンが他に見つかることがほとんどです。
まとめ
諸費用の総額は物件価格の6~8%とされているところが多いです。
仮に7%として、物件価格が2000万円で140万円、3000万円で210万円と少々まとまった金額ですね。
これが、予算外の支出となるのは避けたいところ。
住宅を新築したということは、引っ越し費用もかかります。
家具・家電などの家財も新たに購入したいとなれば、さらに何十万円、何百万円という支出も見込まれますよね。
これまでにお伝えしてきた、諸費用・家財・引っ越し費用など。
自己資金0円で、かかる費用のすべてを住宅ローンに含めてしまう「フルローン」「オーバーローン」もあります。
それでも、余裕を持って現金で用意できるのなら何よりです。
オーバーローンで債務超過の状態になるのは、間違いなく大きなリスクを背負うので、あらかじめ用意しておくことをおすすめします。
安心して新生活を送るためにも、資金計画はしっかりとしましょう。